プロの役者がアニメを語る

ほんとにプロです。ほんとだよ?

竜とそばかすの姫を語る【ネタバレあり】

 

竜とそばかすの姫を見ました。

ちょっと面白すぎたので、どこがどう面白かったのか文章にしてみたいと思います。

 

さて、ここから下はネタバレ祭りなので絶対に映画を観てから読んで下さいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、それでははじめます。

とりあえずざっとあらすじを紹介すると、Uという世界中の人たちが集まるVR空間が日常にある。というおそらく少し未来のお話です。

主人公の鈴は、作曲し歌う事が好きな少女だったのですが、その作曲を教えてくれた母が赤の他人の女の子を助ける為に命を落とします。その事件の後から、鈴は歌う事が出来なくなってしまうのです。

鬱屈した毎日を送っていた鈴のもとに友達の毒舌めがねっ子からUの招待URLが届きます。Uでは新しい自分(As)をつくり出すことが出来ます。ベルというAsを手に入れ、Uの世界に入ったら鈴はベルの姿であれば、自然と歌う事が出来るようになっていました。

ベルの歌はまたたく間に話題となり、世界中の人気者になっていきました。

ベルの数億人規模の大コンサートの最中に竜と自警団が乱入してきます。

Uの秩序を守ると自称する自警団を次々とボコボコにしていく竜という名前のAs。そのAsには背中に大きなあざがありました。

そのあざがそして竜の事が気になり正体を探す鈴(ベル)は、ひょんな事から謎の存在に導かれ竜の住処を探しあてます。

粗暴で孤独な竜に惹かれていくベル。竜もまたベルの美しい歌声に心をひらいていきます。

一方その頃現実世界では、しのぶという幼馴染の男の子と鈴が付き合っているのではないかとの噂が広がります。しのぶはイケメンで女子にファンが多くあわや女子の中で戦争になるかと思われましたが、なんとか鎮火。しかし、鈴は封印していたしのぶへの恋心を思い出していきます。

Uの世界では、竜を見つけ出して正体を暴いて(アンベイルして)やろうと世界中の人たちが執拗に追いかけ回します。竜の住処から出て来た所を自警団に見られたベルは、自警団に追い詰められ2度竜に助けられます。

ベルの痕跡から竜の住処を見つけ出した自警団はそこを焼き尽くします。命からがら逃げ出した竜。それを見たベル(鈴)は竜を助けるために、その正体を必死に探します。

とあるライブ配信で、竜とベルしか知らないはずの歌を口ずさむ少年を見つけた鈴。そこに写っていたのは、二人の兄弟とそれを虐待する父親の姿でした。兄のけいが竜の正体であると見抜いた鈴は連絡をとりますが、鈴がベルである事が信じられないとすげなく連絡を切られてしまいます。

鈴がベルである事を証明するため、鈴はUの世界で鈴のまま歌い出します。

鈴が鈴のまま歌った歌は人々の心を掴みます。けいとその弟ともの信用を得、住所を聞こうとした矢先、父親がライブ配信に気が付きライブ配信を止めてしまいます。けいとともの家が、東京にある事を突き止めた鈴は高知から単身東京へと乗り込みます。

家から逃げ出してきたけいとともと出会った鈴は追ってきた父親から二人を守ります。

そうして高知に帰ってきた鈴は、仲間たちの中で歌を歌うのでした。

めでたしめでたし。

というお話でした。なかなかの文章量になってしまいましたね。これでも書ききれていないところも多々あるのですが...

補足で説明すると、けいくんは中2でともくんはそれより2つくらい下かな?という印象です。明示はされていませんが、ともくんは知恵おくれ(という言い方は正しくないかもしれませんが)系の障害を持っているようです。

Uでベルが一番最初に歌ったときに、Uに鈴を誘った毒舌めがねっ子を差し置いて、一番にフォロワーとなったのが、このともくんのAsでした。ともくんはベルを竜のところに度々誘導していました。

 

なんとなく、お話しの前提条件は掴めてきたでしょうか?

それでは、「なぜ鈴は歌えるようになったのか?」を中心に竜とそばかすの姫を語っていきたいと思います。

 

そもそも、なぜ鈴は現実世界で歌えないのか?それは母親が亡くなった事が大きな原因です。母親が見ず知らずの他人を助けて死んでしまったことで鈴は自分は母親にとって必要ではなかったと思うようになってしまいます。そしてやがてその思いは肥大していき、自分はこの世界に必要無いと思うようにすらなってしまいます。つまり、母親との1番の思い出である歌を歌えないのは、母親の死に納得のいかないままだからだと考えられます。

ということは、鈴が歌えるようになったのは母親の死に納得がいったからだと考える事が出来るでしょう。

鈴が何かを「助ける」行為に至るまでには順番がありました。

まずは「助けられる」を経験する事。毒舌めがねっ子からUを紹介された事でVR空間ではあるものの、歌を歌う事が出来るようになりました。また、毒舌めがねっ子のマネージメントもあり、沢山の人に自分の歌を届けるという体験をしました。ここで鈴は毒舌めがねっ子の親友に助けられたのです。

次に「心配する」の行程です。沢山の自警団に追われながらコンサートに乱入してきた竜を、鈴は最初から心配そうに見つめます。これは日本人的価値観で判官贔屓的な所が大きいように思えます。無勢であり逃げていたからこそ、鈴は竜を心配する事ができた訳です。

その次は「自分を犠牲にする」です。これは鈴の勘違いだった訳ですが、自分の恋心を犠牲にして、マドンナの恋を応援しようとした訳です。

そして最後に「生きる寄辺だったAsも犠牲にして」けいくんとともくんを助ける訳ですが、つまり鈴は無意識のうちに自分を置いて川へ飛び込み亡くなった母親の思いを追体験しているのです。

 

幼少期、母親が川へ飛び込んだ後母親を追って川へ入ろうとする鈴を止めた人物がいます。幼馴染のしのぶです。しのぶは抜け殻のようになった鈴をずっと心配していました。そんなしのぶに突き刺さった言葉があります。けいくんの鈴を拒絶するシーン「助ける助ける〜」のくだりです。鈴が回復する日まで見守るスタンスだったしのぶは、毒舌めがねっ子がUを紹介しUの中で自分を取り戻していく鈴を外から見る立場でした。しかしけいの言葉を聞き、ただ見守ったり優しい言葉をかけるだけでは、何もしていないのと変わらないのだと気がつきました。それでその後急にスパルタ的な事を言い出すのです。

毒舌めがねっ子ちゃんはアホほどいい子です。多分鈴の事めっちゃ好き。

この映画ほぼ唯一の悪役と言っていいジャスティス君について考えてみましょう。Asは抑圧された思いが具現化するように出来ています。ベルがマドンナ似で目がディズニーだったのは、鈴が強くそうなりたいと思っていたからで、そばかすがそのままだったのは、それでもやっぱり自分のままでいたいと思ったから。竜が強いアバターなのはけいくんが強くありたいと願ったから、あざが増えていくのは、誰かにこの痛みを知ってほしいと思ったから。であるならば、ジャスティス君は正義がまかり通らないところで虐げられながら生きているのではないでしょうか?日本で言えばいじめられてるとか。正体を暴く道具も逆説的に、自分の正体を誰にも知られたくない証拠だと言えるかもしれません。

さて、そろそろまとめに入ります。

「なぜ鈴は歌を歌えるようになったのか?」それは、母親の思いを追体験する事で、その死に意味を見つけ出す事が出来たから。

では、この作品のテーマはいったい何だったのか?

まず上がるのは、人を助ける事の無償性でしょう。人を助ける事は、自分の責任の範疇であり、見返りを求めるものではない。ということです。

そして、現実世界が結局大事なんじゃないの?みたいな事も含まれていたかと思います。

まあ、正直他にも色々解釈はあると思います。

 

最後に今後の期待を書き記して、締めにしようかと思います。

しのぶとけいどっちが鈴とくっつくのかはたまた毒舌めがねっ子が、いやマドンナもカヌー男から鈴に乗り換えるか、現実世界はまだまだ大変そうなので想像だけで飯が食べられそうですね。

また、Uの世界はまだまだ奥深さがありそうなので、ぜひUシリーズを監督には作っていただきたいです。Uのディズニーシリーズでシンデレラとか面白いのではないでしょうか?

 

さて、いかがだったでしょうか?

ここの意味がわからんとか、ここは違うだろみたいなご意見があれば、ぜひコメントをお寄せください。

結構な長文をここまで読んでいただきましてありがとうございます。

また何かを語りたくなったらこのブログを使いますのでお楽しみに!